300万円以上の借金がある大学院生が16%?!
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先日、Yahoo!ニュースに「大学院生16%借金3百万円以上 文科省研究所が全国アンケート」という記事が掲載されていました。

文科省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が2020年度の修士課程卒業(見込みを含む)する人を対象に行ったアンケートで、1万6311人が回答したようです。

 

Yahoo!ニュースの記事を元に、大学院生の経済状況について見ていきましょう。

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なんでNISTEPがアンケート調査をしているのか?

このアンケートの目的としては、

日本での博士課程進学率は2000年度(16.7%)から減少傾向が続いていて、2020年度は9.7%になってしまっている。

優秀な学生が、博士課程への進学を断念している。

という現状から、「優秀な若者が、アカデミア、産業界、⾏政など様々な分野において活躍できる展望が描ける環境の中、経済的な⼼配をすることなく、自らの人生を賭けるに値するとして、誇りを持ち博士後期課程に進学し、挑戦に踏み出す」ことを目的としているようです。

 

要は、博士課程に進む人を増やすためにどうすれば良いのか?を国が考えるために行われているアンケート

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大学院生の奨学金取得状況

まずは、大学院生の経済状況を把握するためにどれくらいの人たちが奨学金を取得しているのか見て見ましょう。

大学院生の半数以上の64.1%の学生さんは、奨学金を借りていません。

返済義務のある奨学金を借りている学生さんで300万円以上借りているのは、全体の16.5%。

1万6311人中、約2690人が300万円以上借りていることになります。

 

これは文系学部・理系学部合わせての結果で、分野別に見てみると理系分野で300万円以上借りている人が多いようです。

・保健 :22.9%

・理学・工学:17.1%

・農学:14.2%

となっていました。(保健というのはおそらく医学・薬学・看護系ではないかと思われます)

 

人文・社会の分野で240万円以上の借りている人は1割いないのに対し、自然科学系は2割近くとなっているとのこと。

自然科学系分野でお金を借りる額が高額になっている傾向がありました

 

ちなみに私も修士の学生の時、返済義務のある奨学金を借りていて月額5万円×2年間の120万円を借りていました。

(修士の間に国際学会での発表経験・論文を出版などを経験すると奨学金が免除になることがあります。)

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授業料免除になっている学生の割合

大学を卒業して大学院まで行くのは、かなりのお金がかかります。

東京大学大学院(国立の大学院)の場合、

入学料が282,000円、学費が修士課程の場合535,800円、博士課程の場合520,800円となっています。

修士課程卒業するとすると135万円、博士課程まで行くとすると(3年間で博士号を取得できるとすると)プラス156万円かかります。

この金額は、働いて稼ぎがない学生さんにとってはかなり大きな金額です。

自然科学系分野(理学・工学・農学・保健)に絞ってみると、授業料免除になっていない学生さんが8割近く

半額〜全額免除になっているのは17〜18%程度でした。

 

それに対して、人文科学系、社会学系では23〜24%(約1/4)の学生さんが授業料の半額〜全額の免除を受けていました。

 

奨学金の取得状況と、授業料免除の状況を合わせて考えると、授業料免除を受けられない学生さんたちが返済義務のある奨学金を取得していて経済的に苦しい状況にあると結論づけられています。

博士課程に進学する人ってどれくらいいるの?

このように、仕事ができない中で多額の授業料を支払わなければならない博士課程に進む人ってどれくらいいるのでしょうか?

大学院の修士課程を卒業する時点で、博士課程に進むと回答したのは約10%。(人文系の23.1%が最も高かった)

自然科学系分野では理学が17.0%、工学が7.8%、農学が9.3%、保健が8.2%でした。

 

修士号を取得して就職する人が62.1%。中でも、工学系が87%、農学系が81.8%。

博士課程に進まず、就職先が決まっていない人が自然科学系で4%程度、人文科学系で20%程度いるようでした。

 

理学系分野では高い傾向がありますが、工学・農学・保健分野では10%を切っています

これはかなり危ない状況!

 

ちなみに、修士課程に進んだ理由で自然科学系の学生で最も高かったのは「研究することに興味・関心があったから」

研究が面白そう!と思って大学院に進学したのに、研究者になる道の入り口である博士課程進学を諦めてしまう学生が大多数を占めてしまうというのはいかがなものか...

博士課程進学者を増やすためには

この調査では、博士課程の進学者を増やすためには「経済的な支援の拡充」「(社会に出てからの)賃金・昇進の優遇」「民間企業での博士号取得者の雇用の拡充」などが必要なのではないかと挙げられていました。

また、博士課程在籍中の給与支給・若手研究者の研究環境改善などが挙げられていたそうです。

確かに、経済的な支援は必要です。

授業料を支払えないから優秀な人が進学を諦めてしまうこともあるかもしれません。

そのためには、給付型(返済義務のない)奨学金の拡充や、授業料免除制度の見直しなどが必要になってくると思います。

また、博士課程の学生さんは教授などから仕事を頼まれることが多く、自分の研究に集中できない環境で博士号取得を目指さなければなりません。

研究室内の雑用的なものを肩代わりできる職種ができると良いのでは?と個人的には思っています。

 

私は、修士号を取得してから博士課程には進学せず就職しました。

その理由としては、博士号を取得したところで研究者として働ける場の少なさ(ポスドク問題)があったから。

博士号を取得して30歳を目の前にしたのに、任期付きの職しかなく、安定した収入を得られない将来に誰が喜んで進んでいくでしょうか?

博士号を取得して、安心して研究できる環境がない限りは博士課程に進学する人は増えないのではないかと思います。

 

安心して研究できないのであれば、海外に出るのも一つの手。

海外留学では、給付型の奨学金が充実しているようなので、経済的な心配は国内にいるよりはないかもしれません。

(こうやって優秀な人材が海外に流失してしまうのは、日本の科学の衰退に拍車をかけること間違いなしですね。)

300万円以上の借金がある大学院生が16%?! まとめ

今回の記事をまとめます。

  • NISTEPが修士課程を卒業する人を対象にとったアンケートの結果
  • 大学院生の8割以上は授業料免除になっていない
  • 300万円以上借金があるのは自然科学系で2割近くいる
  • 博士課程に進学する学生は10%を切っている分野もある

日本の科学を明るい未来にするためには、博士課程進学者を増やすことが大事です。

そのためには、経済的な支援の他に研究環境の改善・将来の働きやすさなどまだまだ改善しなければならないことが山積しています。

 

 

記事の元になったアンケートはこちら

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