研究室には、位相差顕微鏡、蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡、実体顕微鏡...などなど様々な顕微鏡がありますよね?
それぞれの顕微鏡について説明できますか?
研究者にとっては常識的なことかもしれませんが、研究室に配属されたばかりの学生さんにとっては分からないことばかりですよね。
今回は、顕微鏡の大きな分類である「正立顕微鏡」と「倒立顕微鏡」の違いについて簡単にまとめておきます。
蛍光顕微鏡と共焦点顕微鏡の違いについてはこちらの記事にまとめています。
「正立顕微鏡」とは?
「正立顕微鏡(upright microscope)」の特徴は、対物レンズがステージの上側についていることです。
小学校の理科室にあるような、いわゆる一般的な顕微鏡というのは「正立顕微鏡」です。
生物分野の「正立顕微鏡」は「透過型」になっていて、プレパラートを観察するのに向いています。
「透過型」は光を上から当てて透過光を観察するもので、光を下から当ててその反射を見るものを「落射型」と言います。
透過型では光を通さないものは観察できません。(光を通すために薄い切片(2〜20μm)を切って観察します)
切片を観察したりするときには、正立顕微鏡を使います。
「倒立顕微鏡」とは?
「倒立顕微鏡(inverted microscope)」は細胞を扱う研究室には大抵置いてあります。
この顕微鏡の特徴は、対物レンズがステージの下側についていること。
生物分野で「倒立顕微鏡」は主に細胞を観察する際に使われます。
特に接着性の細胞はシャーレの底にくっついているため、観察するためには底側からレンズを近づける必要があります。
シャーレはガラスに比べて厚いので、倒立顕微鏡は対物レンズの作動距離が長くなっているのが特徴。
細胞を観察する「倒立顕微鏡」には「透過型倒立顕微鏡」が用いられます。
(「透過型倒立顕微鏡」とは光を試料に当てて透過してきた光を観察する顕微鏡のことです)
「正立顕微鏡」と「倒立顕微鏡」の違い まとめ
「正立顕微鏡」と「倒立顕微鏡」の違いをまとめます。
- 「正立顕微鏡」はプレパラートを観察するのに適している
- 「倒立顕微鏡」は細胞を観察するのに適している
- 観察対象によって顕微鏡も使い分ける必要がある
意外と身近にある実験機器で「なぜそれを使うのか?」を知らないことって多いのかもしれませんね。
(教えてくれている先輩とかも実は知らないで使っているかも?!)