2019年Nature Indexで東大がトップ10入り!その他の大学は?
 2019年8月29日 シュプリンガー・ネイチャーが集計のミスを発表したため、ランキングを更新しました。

大学を選ぶ指標ってどうしますか?

もちろん、学力的に入れるところというのが第一ですよね。

でもその大学の研究活動が活発かどうかも重要な選ぶポイントになり得ると思います。

今回は研究活動の活発さを指標にしたランキング結果をご紹介します。

その名も「Nature Index」。

「Nature Index」とは、世界各国の研究機関を一年間の論文数を指標にランクづけするもので、「シュプリンガー・ネイチャー」という出版社が毎年発表しています。

2018年の論文数をランクづけした結果が2019年版として2019年6月20日に公表されました。

このランクづけ、2014年から始まって今年は6回目を数えます。

2019年は「論文数」だけではなく、「発表した論文数に占める質の高い論文の割合」という新しい指標が導入されました。

この新しい指標で、日本の沖縄科学技術大学院大学がトップ10にランクインしたのです!

新しい指標の意味なども含めてご紹介していきます。

 この記事は日経サイエンス2019年9月号の「沖縄科技大がトップ10入り」の記事を参考にしています。
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通常の「Nature Index」では東大がトップ10入り

通常の「Nature Index」は、論文のインパクトファクター(IF:論文の影響力を測る指標)を基準に選ばれた82の雑誌に掲載された論文数で決まります。

つまりインパクトファクターが高い雑誌に掲載された論文の数が対象になります。

有名どころの論文雑誌(CNS)
  • Cell誌(IF:39.4)
  • Nature誌(IF:41.5)
  • Science誌(IF:41.1)
この雑誌は
押さえておこう!

 

 カッコ内のインパクトファクターは2018年版のものです。インパクトファクターは毎年変わります。

2019年版のトップ10の顔ぶれはこんな感じです。

順位 研究機関(国名) スコア
1 中国科学院(中国) 1678.64
2 ハーバード大学(アメリカ) 845.54
3 マックス・プランク研究所(ドイツ) 743.33
4 フランス国立科学研究センター(フランス) 678.94
5 スタンフォード大学(アメリカ) 604.05
6 マサチューセッツ工科大学(アメリカ) 552.57
7 ドイツ研究センターヘルツホルツ協会(ドイツ) 470.72
8 ケンブリッジ大学(イギリス) 431.75
9 東京大学(日本) 426.71
10 北京大学(中国) 403.74

誰もが知っている有名研究所や有名大学が名前を連ねていますね。

東京大学もトップ10入りを果たしていますが、1位の中国科学院とは約4倍、2位のハーバード大学とは約2倍もの差があります。

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新しい指標では沖縄科学技術大学院大学がトップ10入り

新しい指標は「Nature Index」の計算に使用した82誌の論文数を、その年のあらゆる雑誌に掲載された論文総数(総論文数)で割って算出します。

インパクトファクターの高い論文の数÷全部の論文の数

なんで、こんな指標を作ったのか?

研究を進めたり、論文を投稿するのにもお金がかかります。

なので研究機関の規模が大きければ(お金がたくさんあれば)、論文をたくさん出すことができるのです。

Nature Indexに対して総論文数を割り算することで、このような研究機関の規模をの違いを補正することができるのです。

つまりこの新しい指標は、「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」方式ではなく「確実に良い研究を積み重ねている」研究機関をあぶりだすことができます。

今回は国の研究機関や企業などを除く、各国の大学(研究教育機関)のみの調査ランキンキングです。

すると、「Nature Index」ではランキングされないような大学が並びました。

順位 研究機関名(国名) スコア
1 コールド・スプリング・ハーバー研究所(アメリカ) 0.16980
2 ワイツマン科学研究所
3 オーストリア科学技術研究所(オーストリア)
4 プリンストン高等研究所(アメリカ) 0.14305
5 ブランダイス大学(アメリカ) 0.12468
6 ロックフェラー大学(アメリカ) 0.11902
7 ジャワハルラルネルー先端科学研究所(インド) 0.11805
8 スイス連邦工科大学ローザンヌ校(スイス) 0.11145
9 沖縄科学技術大学院大学(日本)
10 プリンストン大学(アメリカ)

このランキングで1位のコールド・スプリング・ハーバー研究所は通常のNature Indexでは345、9位の沖縄科学技術大学院大学は361位です。

新指標の狙い通り、ランクインした研究機関には中〜小規模のところが多いのが特徴です。

1位のコールド・スプリング・ハーバー研究所は研究者・技術者・学生合わせて600人としています。

沖縄科学技術大学院大学の場合、2019年5月の時点で教員数は65人。

それに対して東京大学というと教授職につく人の人数だけで約1300人。

教員の数だけで20倍も違うのです!!

えいこ
教授1人が出す論文数を単純に数えていたら、
沖縄科学技術大学院大学はよっぽどのことがない限り、東大に太刀打ちできませんね。

ちなみに新しい指標での国内の研究機関で100位以内にランキングされたのは、

東京大学(40位)、京都大学(60位)、名古屋大学(95位)、大阪大学(93位)でした。

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なんで沖縄科学技術大学院大学が上位に行けたのか?

沖縄科学技術大学院大学は2011年に設立された比較的新しい大学院大学です。

設立当初から学内の公用語が英語で、教員の半分以上が外国人

分野の異なる研究室が同じ建物の隣同士でラボを構える、ユニークな研究環境が整っています。

通常の日本の大学の研究室では、似たような研究をやっている研究室が同じ建物に入っていて実験機器などを共有しています。

また、運営のための国からの資金状況も影響していると考えられます。

東京大学の場合、大学の基盤的経費となる文部科学省の運営交付金は757億円(2017年度)

それに対して沖縄科学技術大学院大学の運営交付金に相当する内閣府の関係予算は167億円(2017年度)

金額だけみると、東京大学の方がはるかに多くの運営費をもらっているように見えます。

これを単純に教員数で割ると、

東京大学は(757億円÷1300人)=0.58億円/

沖縄科学技術大学院大学は(167億円÷65人)=2.57億円/

と、1人あたりの教員に対して潤沢な資金が投じられていることがわかります。

特色のある運営が行われている研究機関には十分に予算が配分されているのがわかります。

大学も潤沢な研究資金を得るためには、色を出していかないいけない時代になってきました。

大学で独自の運営を打ち出していかなければ、生き残っていけないのではないでしょうか。

新ランキングが持つ意義とは?

スコアに着目してみると、

1位のコールド・スプリング・ハーバー研究所は82雑誌掲載された論文数が総論文数に占める割合が17

沖縄科学技術大学院大学は10.7です。

2018年に82誌に掲載された論文数は約6万本。総論文数は約388万本。

世界全体の研究成果について単純に計算してみると...

6万本÷388万本×100=1.54(%)

つまり、新しい指標の世界の平均は約1.5ということになります。

世界平均に比べて、今回上位に入った研究機関の数値が10倍ほど高いということがわかります。

どういうことを示しているかというと、質の高い論文を出すためには資金面、運営面で戦略的な取り組みが必要であるということです。

限られた人材、限られた資金で最大限の成果を出すためには、どのように研究を進めていけば良いか戦略的に考える必要があるようです。

もちろん、Nature Indexで使われている82雑誌位以外の論文に載らないから、研究の質が低いというわけではありません。

注目度が低くても、コツコツと積み上げられた調査や実験が貴重なデータとなって新しい発見に繋がる例は、科学の歴史上たくさんあります。

この新しい指標は、世界中の研究機関の研究活動を単なる「論文数」という視点だけではなく評価することができます。

いろんな視点で評価されることによって、各研究機関の特色を見つけることができるようになるのです。

今回も「沖縄科学技術大学院大学」について知らなかった人も多いと思います。

(私もその一人ですが...)

特色ある取り組みをしている研究機関が注目されることはとても良いことで、今後の日本の研究機関のあり方が議論されることを望んでいます。

研究支援のあり方の議論に、このランキングが大いに役立つことでしょう。

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