
「【ImageJ】細胞の核を数える」シリーズでは、ImageJを使って自動で核の数を数えることを目指しています。
この記事では、輝度閾値で選択した核の領域を分割する方法の模索第一弾として、ImageJのプラグインである「Adjustable Watershed」を使っていきます。
ImageJで使うプラグインを知っておこう!
「Adjustable Watershed」が公開されているページに飛ぶと、プラグインに関する情報が記載されています。(もちろん全て英語で書かれています)
ImageJのWatershedの方法
まず、デフォルトで使えるImageJのWatershedはどのように領域を分割しているのか知っておきましょう。
NIHのページを見てみると...
と書いてあります。
英語で書いてあると、げんなりする...という人のために噛み砕くと、
領域内の点が背景からどの程度離れているのかを表したもの。背景から遠いほど白く表示される。
ultimateは「最大の」、erodedは「侵食された」、pointsは「点」。直訳すると、最大浸食点となりますが、よくわかりませんよね。背景からどの程度離れているかを計算した結果、その領域内の局所的な最大値をUEPと言うようです。
イメージを図にするとこんな感じです。
領域と領域を分割する基準は、領域内のUPEを中心とした内接円の小さい方と、くびれの部分を直径とした内接円の半径の差の大きさで分割するかどうかを決定しています。
ImageJのWatershedでは、その差を0.5としています。
Adjustable Watershedとは?
Adjustable Watershedでは、領域と領域を分割する基準(この領域内の内接円とくびれの部分の内接円の半径の差)を調節できるようにしています。
0.5よりも遥かに小さい値にする(領域の主だった部分とくびれの部分の内接円の半径の差が小さくなる)と、誤った分割が起こることがあるので注意が必要です。
また領域内に穴があるとうまく分割できないので、必ず領域内の穴を埋めてから使うようにします。
IamgeJのプラグイン「Adjustable Watershed」を使ってみる
Adjutable WatershedをImageJで使えるようにする方法はこちらに紹介しています。
では、細胞をDAPIで染めて撮影した写真でプラグインを使ってみましょう。
Adjustable Watershedを立ち上げます。
領域を分割する基準を0.5(ImageJのデフォルト)にすると...
基準を0.4にすると...
分割して欲しくないところが分割されてしまっています。
さらに基準を0.1にすると...
丸っぽい領域でも、分割されてしまっています。
人の目で見るとこのように分割したい...
特に核が三つ重なっている大きな領域のUEPが1つしかないので、分割されにくいのではないかと思われます。
Adjustable Watershedでは人の目と同じように分割できないことがわかりました。
やはり、Watershedは綺麗な円形の領域じゃないとうまく分割できないのかもしれません。
【ImageJ】細胞の核を数える 番外編〜Adjustable Watershedを使う まとめ
この記事では、
- ImageJでデフォルトで入っているWatershedは領域の内接円とくびれの内接円の半径の長さの差を基準にして分割している
- Adjustable WatershedはWatershedの基準を数値で調節できる
- 数値を調節しても人の目と同じように分割するのは難しい
次の記事では、もう一つ使えるようにした『Interactive Watershed』を使ってみます。