細胞を数えよう!血球計数盤の使い方
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細胞培養をやっていて必ずと言って良いほどやるのが、血球計数盤を使った細胞の計数です。

研究室できちんと教えてもらえないところも多いかもしれません。

この記事では、血球計数盤の使い方について簡単にまとめていきましょう。

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細胞を数える前に生細胞と死細胞を見分ける

なぜ、細胞を数えるのか?

増殖曲線を描きたい、細胞を継代したい、細胞数を揃えて実験をスタートさせたい、薬理試験で生細胞・死細胞の割合を算出したい...など「数える目的」はさまざまだと思います。

いずれの目的でも共通するのは、「生きている細胞」の数を知りたいということ。

まずは「生細胞と死細胞」を見分ける方法について簡単にまとめましょう。

死細胞を染めるトリパンブルーとは?

生細胞と死細胞を見分ける方法は、Live-dead染色やHoechstで染める、PIで染める、MTTアッセイをする、などさまざまにありますが、細胞培養で細胞計数時に一般的に使われるのが「トリパンブルー」です。

トリパンブルーは、元々は染料として使われていましたが、生命科学の世界では「死細胞」を染める生体染色剤として使われるようになりました。

生きている細胞は化学物質に対する透過が選択的です。

トリパンブルーは通常、細胞膜透過できません。細胞が死んでしまって細胞膜に選択性がなくなると、細胞内に入り込んで(位相差)顕微鏡下で見ると細胞全体が青く染まって見えるようになります。

トリパンブルーを使用することで、死細胞を染めることはできるようになりました。

(※トリパンブルーは発癌性物質でもあるので取り扱いに十分注意しましょう)

顕微鏡下での「生細胞」の特徴としては、キラキラ光って見える、細胞の境界(形態)がはっきり見えると言ったところでしょうか。

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血球計数盤を使った計数

では実際に血球計数盤の使い方についてみていきましょう。

血球計数盤チャンバーの概要

血球計数盤にも種類はたくさんありますが、一般的計数盤のチャンバーについてみてきましょう。

血球計数盤のチャンバーは下記のような切れ込みが入れてあり、四隅の1 mm× 1 mmの区画(図2のピンクの部分)を数えてその平均を計算するのが一般的です。(計算の仕方は後ほどご説明します。)

チャンバーの厚さは0.1 mmとなっており、一区画は1 mm × 1 mm × 0.1 mm=0.1 立方ミリメートルとなります。

数える細胞と数えない細胞

血球計数盤に細胞液を入れるとかなりランダムに細胞が配置され、チャンバーの切れ込みの境界部分に細胞があることも多いと思います。

どの細胞を数えて、どの細胞を数えないのか?曖昧になっているのではないでしょうか?

一般的に、境界線に触れているもののうち、上側と左側のものは数える、下側と右側のものは数えないとされています。

例を見てみましょう。

細胞数を算出する

血球計数盤上で数えた細胞から、実際の細胞数を算出していきましょう。

血球計算盤で数えたのは0.1 立方ミリメートルの区画でした。

 

※トリパンブルーで死細胞を染色する時には、細胞液と1:1で混合して使用するため2倍希釈となります。

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実践!血球計数盤を使って細胞数を数える

細胞を計数する手順を、実際の実験を想定しながら見ていきましょう。

今回は、接着細胞を剥離して細胞数を数えて細胞増殖曲線を描くという実験を想定しています。

培養細胞の増殖曲線の描き方はこちらの記事をご覧ください。

培養細胞を計数する実験手順

実験の流れとしては、

トリプシンを用いて細胞を剥がす

トリプシンの反応を止める

遠心機分離して上清を除く

新鮮な培地に懸濁する

トリパンブルーを使って細胞を計数する

となります。

概要は図5に示します。

想定実験の例を元に細胞数を計数してみると、図6のようになります。

 

細かい接着性培養細胞の扱いについてはこちらの記事もご覧ください。

血球計数盤の使い方 まとめ

血球計数盤の使い方を簡単にまとめましょう。

  • トリパンブルーは死細胞を染めるのに用いられる試薬
  • 血球計数盤はチャンバー内の4隅の1 mm区画を数える
  • 境界上の細胞は一定のルールに従って数える・数えないを判断する
  • 細胞数の計算式は頭に入れておく
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