先日私のPIから「ResearchGate」なるものへの招待が来ました。
なんの説明もなく、招待メールだけだったので「怪しいもの?!」と一瞬ゴミ箱に入れようとマウスを動かしましたが...
なんとな〜く文字列は見覚えがあったので、会員登録してみることに...
ログインしてみるとそこには科学者・研究者たちの世界。
最新の論文の情報や研究の話題があふれていました。
会員登録してログインしてみたは良いものの、どう使えば良いのか、どうすれば良いのかよくわからなかったので、独自に調査してみました。
「ResearchGate」とは?
簡単に一言で言うと、科学者・研究者向けのソーシャルネットワーク・サービス(SNS)です。
研究者が会員登録して、フォローをしたり、スキ(イイネ)みたいなことができるシステムになっています。
ResearchGateはもともと2008年にボストンで設立されましたが、現在はドイツ・ベルリンに本部を置いて活動している営利団体です。
現在1400万人以上の登録会員を有する世界最大級の学術SNSとなっています。
会員になると、書いた論文や学会に提出したAbstractなどを登録できます。
特徴的なのは、生データや失敗した実験データを公開することが勧められている点。
他の研究者が同じ過ちを繰り返さないため、科学が加速的に発展していくためにも共有するべきだと言う考えのもと推奨されているようです。
気になる研究者をフォローして、その人の最新の研究成果を気軽に確認できるツールなのです。
研究者と簡単に繋がれるので、所属している組織の図書館で購読されていない雑誌の論文でも、研究者に直接問い合わせて送ってもらうことが可能になります。
その分野の権威の先生と簡単につながって連絡が取れるので、まさに夢のようなツールです。
「ResearchGate」に登録されている論文は全部読めないの?
「ResearchGate」の会員になると自分の研究成果(論文など)を登録できます。
残念ながらResearchGateに登録すれば全ての論文が閲覧できるかというと、そう言うわけではないのです。
と言うのも、元々はResearchGateは研究者が公開していた論文全てを閲覧できるシステムだったのです。
2017年に大手出版社のElseverやWillyなどの申し立てに応じ、170万本もの論文アクセスを制限すると言う事例が発生しました。
この一件で、論文の著作権・オープンアクセスに対して研究者たちがもう一度考える機会になったと思います。
「ResearchGate」では基本的にはオープアクセスになっている論文は読めますが、オープンアクセスになっていない論文は簡単には読むことができません。どうしても読みたい場合は、著者に直接連絡を取って論文を送ってもらいましょう。
「ResearchGate」の機能の特徴
「ReseachGate」に登録はしてみたものの、具体的にどんなことができるのかイマイチよくわかりません...。
「ResearchGate」でできることを大きく3つに分けてまとめましょう。
① 自分の研究成果を公開できる
「自分の研究成果を公開する」こと自体は、Mandeleyやacademia.eduなど他のツールでもできます。
「ResearchGate」に特徴的なのは、DOIが付与されることです。
(※ DOIとは2012年いISOに認定された、Digital Identifier of an Objectの略。)
DOIについてもっと詳しく知りたい!と言う方はこちら
論文だけではなく、研究データにDOIが付与されると言うのが特徴的なのです。
創設者のマディシュは、特に失敗した(ネガティブデータ)を公開することが重要だと考えており、「97%失敗した実験結果の生データこそ(共有することが)重要だ」と述べています。
データにもDOIが付与されると言うのは、ネガティブデータの公開を加速する後押しになるでしょう。
② 質問・回答機能
研究に関する質問を「Q&A」フォームから投げかけると、分野の専門家から直接回答を得ることができ、関連質問も見ることができます。
Yahoo!知恵袋と似ていますが、ちょっと違うことが...
「ResearchGate」では基本的に実名・顔出しが原則とされています。
また、研究者評価指数であるRG scoreも同時に表示されるので、Q&Aの内容の信頼度を図ることが可能なのです。
Yahoo!知恵袋と似て、閲覧者が質問・回答に良し悪しの評価を付けられるのでどの回答が支持されているのか、判断の材料にもなります。(質問する側も、回答する側も緊張しますね...)
科学的な質問は「ResearchGate」でした方が良いかも...(英語ですが)。
実験的な手法から、解析方法、ソフトウェアの使い方など、「科学実験」に関わるさまざまな質問が寄せられているので、「Q&A」を読んでいるだけでも参考になります。
③ 研究者が多方面で評価される(RG score)
「ResearchGate」内には研究者を評価する独自のシステムがあります。
「ResearchGate」にどれだけ研究成果を公開したか?、公開された研究成果は他の利用者からどれだけ評価されているのか?などを評価して数値化したRG scoreが各研究者に与えられます。
論文だけではなく、どれだけアクティブに質問したか?失敗データを公開したか?なども評価の対象になります。
従来は学術コミュニティーでの研究者の評価は研究への貢献度(論文の本数など)で計られてきました。
「ResearchGate」ではより研究者同士の距離が近く、科学の進歩にどれだけ寄与したかが論文以外のあらゆる研究活動で評価される様になっています。
また、研究者だけではなく、研究機関も評価の対象で、所属する研究者のRG scoreを集積したもので評価されるようです。
「ResearchGate」ってなに?ーまとめ
「ResearchGate」について、最後にまとめておきましょう。
- 「ResearchGate」は一言で言うと「科学者・研究者専用のSNS」
- 論文だけではなく、実験データにも「DOI」が付与される
- ネガティブデータの公開も推奨されている
- 科学者・研究者の独自の評価システムを取り入れている
活用できれは面白そうなツールですが、あくまでもSNS。うまく付き合って行くのが良いですね。
参考文献