春になり、研究室に配属されてドキドキしている学生さんも多いのではないでしょうか?
実は研究室で使われるようなソフトウェアって有料のものが多くて、学生さんが気軽にインストールして使えるものって少ないんです...
お金持ちの研究室だったら、文献管理のソフト、画像編集ソフト、解析用ソフトなど有料のものをバンバン入れても良いよーっていうところがあるかもしれません。
そんなことをしてくれない研究室がほとんど。
この記事では、生命科学系の学生さんならPCに入れておきたいおすすめの無料ソフトを3つご紹介します。
画像解析をするなら!「ImageJ」
生命科学系で画像解析と言えば、「ImageJ」。
と言うほど、誰でもインストールしているツールなのではないでしょうか。
無料なのに、こんなに便利な機能が揃っていて世界中の研究者に使われているソフトはないのでは?と言うくらい使いこなせればめちゃくちゃ便利です。
ImageJはアメリカ国立衛生研究所(NIH)で電気泳動したゲルのバンド解析用のツールとしてWayne Rasband開発されました。(最初にリリースされたのは1987年)
当時の名前は「NIH Image」。最初はプログラミング言語Pascalで書かれており、Mac OSのみのサポートでした。
Java言語が公表されたことを受け、1997年代にWindowsやLinuxなどのJava仮想マシンでも動作するImageJがリリースされました。
現在ではMac, Windows, Linuxなどのマシンで動きます。
オープンソースソフトウェアで、どう言う仕組みでプログラムが書かれているかGitHubで全部公開されています。
解析の透明性が高いのも、世界中の研究者が使用する一つの理由になっているのです。
NIHで開発されたこともあり、生命科学系の解析ツールが豊富に揃っていることから、生命科学系の研究者から熱い支持を受けています。(世界中の3万を超えるラボで使用されているとも)
研究者から幅広く支持を受けていることから、ImageJを使った生命科学系画像解析を解説した書籍(『ImageJではじめる生物画像解析』など)や日本語版のImageJwikiがあり、日本語の情報が充実しているのも特徴です。
現在ではImageJの上位互換ソフトウェアであるFijiが登場し、Fijiを使うのが主流になりつつあります。
Fijiのインストールに関しては、こちらの記事をご覧ください。
遺伝子情報を扱うなら!「ApE」
プラスミドを設計したり、シークエンスの解析をしたり、扱っている遺伝子について知りたいなど、生命科学系の分野だったら遺伝子の情報を扱う機会も多いのではないでしょうか。
遺伝子情報を扱うソフトは「GENETYX」が一般的だったりもしますし、最近は「SnapGene」などのぱっと見で遺伝子情報がわかるような便利なソフトが出てきているのですが、どちらも有料...
GENETYXは持っている研究室も多いかもしれませんが、共通パソコンにしか入っていなくて使い勝手が悪いと言う方もいるのではないでしょうか?(私の研究室では共通パソコンにしか入っていません)
もっと日常的に自分のPCでも遺伝子情報を扱いたい!そんな時に便利なのが「ApE」です。
「ApE」は「A plasmid Editor」の略。
ユタ大学のWayne Davis先生によって作成され、Windows、Mac、Unixの環境で動作します。
ApEでは制限酵素サイトのチェック、DNA配列のアミノ酸配列への翻訳、ORFの表示、ABIのシークエンス配列を読み込んで表示させるなど、簡単な遺伝子情報の操作が可能です。
ただ、ネット上にも日本語ベースの解説が少ないのが現状です。
ApEのインストールに関しては、こちらの記事をご覧ください。
文献管理をするなら!「Mendeley」
文献管理と言ったら「EndNote」が一般的かもしれません。
が、「EndNote」は有料ソフト。
無料で使える文献管理ツールとしては「Mendeley」がおすすめです。
Mendeleyは文献管理+オンライン上の情報共有を目的として、デスクトップアプリケーションとウェブアプリケーションを組み合わせて使用していきます。
デスクトップ版はWindows, Max, LinuxのOSで動作、ウェブアプリケーション版は個人のアカウントを利用することで複数のPC間で同期したりバックアップを作成したりすることが可能です。
PDFファイルから論文名・著者名・掲載雑誌・巻号・ページ番号などの情報を自動的に読み取って管理してくれ、文献リストの共有、論文につけた注釈やタグを共著者と共有することもできます。
さらに、Microsoft Wordなどへの引用・参考文献挿入用のプラグインがあるので論文を書くのにも便利です。
Mendeleyのインストールの仕方はこちらの記事をご覧ください。
おまけ:一味違うグラフを描きたいなら!「RStudio」
最後に、個人的にすごくおすすめしたいのが「RStudio」。
RStudioはRを動かすためのIDE(総合開発環境)。
統計解析向けのプログラミング言語であるRを動かすためのソフトウェアです。
エクセルでは処理しきれないデータ量を処理してくれたり、エクセルでは描けないようなグラフを簡単に描けたりします。
エクセルはMicrosoftが開発していることもあり、Windowsでよく動いてMacを使っていると不自由があったりするのですが...
RStudioの動作環境はMac, Windows, LinuxとどんなOSでも動くので、WindowsだMacだと悩む必要はありません。
大規模なデータ分析はRが向いているので、最近の流行りであるNGSを使った解析は主にRで行われています。
これから、「バンバン大量のデータ解析をするぞ!」と言う方は必ず入れておきたいソフトウェアです。
使いこなすには「R」を少し勉強しなければいけませんが、使いこなせれば解析の幅が広がるすごく便利なツールです。
RStudioのインストール方法については、こちらの記事をご覧ください。
生命科学系ならインストールしておきたい!おすすめ無料ソフト3選ーまとめ
生命科学系のおすすめ無料ソフト3選をまとめておきましょう。
- 画像解析をするなら「ImageJ」
- 遺伝子情報を扱うなら「ApE」
- 文献管理に欠かせない「Mendeley」
- キレイなグラフを描きたい・大量のデータ解析をするなら「RStudio」
どのソフトも使いこなせるようになるまで少し勉強が必要ですが、使えるようになると「これ、本当に無料なの?!」ってくらい便利ですよ。