研究室にいるといろんな人がいますよね。
パッと思いつくのは、教授、准教授、ポスドク、学生...
という感じでしょうか?
日本の大きな研究室には「技術補佐員」「テクニシャン」と言われる人たちがいます。
海外ではかなり一般的な職種なのですが、日本のラボにはなかなかいないのではないでしょうか。
(特に大学の研究室にはなかなかいないかもしれませんね)
- 技術補佐員さんってどんなことをしてるの?
- 技術補佐員さんの働き方は?
- 海外ではどんな待遇なの?
この人たちはどんなことをしているのか?をご紹介したいと思います。
技術補佐員の基本的なお仕事
簡単に言ってしまうと、実験のデータを出すのが主な仕事です。
これだと、「研究者とは何が違うの?」という疑問の声が聞こえてきそうですね。(特に日本にいる場合だと疑問が大きいかもしれません)
研究者と技術補佐員は何が違うのでしょう?
研究者は、実験のプランを頭で考える人、技術補佐員は、研究者が立てた実験プランを実行して結果を出す人です。
研究者は自分の実験テーマに沿って、「これを調べるためにはこんな実験が必要だ!」と実験の材料や方法を考えます。
そして技術補佐員・テクニシャンに「この実験をお願いします」と頼みます。
技術補佐員・テクニシャンは、研究者が立てた実験計画を元に忠実に実験を行って実験結果を研究者に提出します。
研究者は技術補佐員・テクニシャンが出した結果を元に自分が立てた仮説が正しかったか?この結果から何が言えるか?を考えます。
ここからわかるように、研究を進めていくためには、研究者と技術補佐員・テクニシャンとの信頼関係が非常に重要です。
技術補佐員・テクニシャンが実験をミスしているかもしれない、あの人は信用できないと少しでも疑う心があるのであれば、自分で実験をやった方がましです。
つまり、技術補佐員・テクニシャンとは「実験のプロ」として研究室に在籍している人のことなのです。
技術補佐員の働き方
大学や国立の研究所の一般的な技術補佐員についてご紹介します。
雇用の体系はどうなってるの?
雇用体系は基本的に、非常勤職員扱いで、単年度契約。
非常勤とは、専門的な知識や技能や経験が必要で一週間に勤務する時間が決まっている人のこと。
単年度契約とは、一年ごとに契約更新手続きが必要な人のこと。
雇用の体系としては、世の中の契約社員と似ていると思っていただけるとわかりやすいかもしれません。
ただ日本の研究室の場合、技術補佐員・テクニシャンを雇えるということはかなり研究費に余裕があるという場合が多いです。
研究費に余裕があるということは、大型のプロジェクト(研究費が長い期間たくさんもらえる)に参加しているということです。
そのプロジェクトを進めるために、技術補佐員が雇われるケースが非常に多く、プロジェクトが終わってしまったり研究費に余裕がなくなったら解雇されてしまう場合もあります。
1年ごとに更新しなければならないし、かなり不安定な職種とも言えます。
勤務時間は?
技術補佐員は研究者と比べてきっちり勤務時間が決められているのが特徴です。
基本的に残業はなく、働く時間はだいたい朝9:00から夕方16:00や17:00。
平日に勤務して、土日出勤はほとんどありません。
また、週5で働く人もいれば週3で働く人もいます。
お給料は?
技術補助員・テクニシャンの給与体系はそれぞれの大学・研究機関が独自に決めているので一概には言えません。
基本的には時給制です。
学士、修士、博士など経験によって時給の金額は変わります。
例えば、学士卒で技術補佐員になった場合...
時給は1000円程度、1週間に働く時間が30時間だとすると
1000円×30時間×4=120000円
が額面の給与になります。(一般企業に務めた方がはるかに良いですね)
まあ、学士で技術補佐員になる人はそんなにいないと思いますが...
修士や博士を出たとすると、平均的に月15万円程度(手取り)の収入が得られます。(フルタイムで勤務した場合)
どんな人が技術補佐員やテクニシャンになるの?
先ほどみてきたように勤務時間が短くてすむのが技術補佐員の働き方の特徴です。
出産などでキャリアが途絶えてしまったり、研究でバリバリ働けないけど研究が好きな人、子育て中で時間の融通を効かせたい人などがこの職につくことが多いです。
意外にも、博士号を持っている女性が技術補佐員をやっていることが多いのです。
博士号を持っている人の場合は、研究者以上に研究に対する思考能力がある場合があるので、研究者の良き相談相手になっていたりします。
海外の技術補佐員ってどんな感じなの?
私は海外留学に行った経験がないので、実際のところはわかりません。
ただ、海外に留学した人の話を参考にこんな感じかなというのをまとめたのでご参考までに。
フランスでは、テクニシャンは国家資格で国から研究室に派遣される。
上司や労働環境に不満があれば申し出て、次の職に困ることはない。
アメリカでは、テクニシャンの仕事と研究者の仕事は完全に別れている。
(テクニシャンは実験(手を動かす)、研究者は研究(頭を使う))
こうしてみると海外の方が研究補佐員、テクニシャンの地位がある程度保証されているようです。
日本でも研究者が研究(頭を使う仕事)に集中できるように、技術補助員、テクニシャンの身分・労働環境の保証をしっかりしてくれる制度ができてくると良いなと思います。