中高生に熱視線?!国内学会の新たな取り組みとは
 この記事は日経サイエンス2019年8月号の「国内学会, 中高生に熱い視線」を参考にしています

国内のいろんな学会が、中高生に”学会”に興味を持ってもらおうという取り組みを始めています。

私の研究室でも1年に1回、高校生に研究室を解放して研究内容を知ってもらう機会を作っているんです。

フミ
お母さん、ちゃんと高校生に説明できるの?

えいこ
本当に今の高校生は優秀だから、鋭い質問が飛んできたりするのよ。
若い人たちと交流するまたとない機会だから、説明する側もすごく楽しいんだよ!

今回は、中高生に熱い視線を送る国内学会の取り組みをご紹介します。

(特に2019年に中高生向けに取り組みを始めた学会を中心にご紹介します)

論文掲載料を無料に!〜情報処理学会の取り組み〜

中高生が中心になって出した成果の論文掲載料を無料に!

情報処理学会では2019年度から、中高生が出した論文の掲載料を無料にしました。

無料掲載になるための条件は、情報処理学会のジュニア会員(会員費無料)になること。

情報処理学会のジュニア会員のうち高校生は、約37.5%(1600人のうち600人)!

最先端の技術に関心を持つ中高生が増えてきている証拠でもあります。

【ジュニア会員になるメリット】

    1. 情報処理学会の月刊誌「情報処理」がオンラインで読める
    2. 電子図書館を利用できる(論文が無料で読める)
    3. 学会が主催するイベントにお得に参加できる

なんで無料にしたの?

中高生の関心が高まっているのにも関わらず、中高生が研究するための研究費は十分に確保できません。

しかし、査読付きの論文誌の掲載料は1回あたり10万円!

指導教員や高校生たちのポケットマネーから支払うのは大変な額です。

高校生たちが論文投稿することへの大きなハードルになっていました。

中高生が研究に取り組みやすくなるように、掲載料の無料化に踏み切りました。

さらに、研究成果を公開できる場を増やすために、論文投稿のハードルを下げる取り組みもしています。

研究者が集まる学会で発表できる!

2019年3月に福岡で開催された全国大会で中高生向けのポスター部門を新設しました。

1チーム4人以下の37チームが参加しました。

中高生向けのポスター部門でも賞を設けられ、「手書き数字の判定システム」を開発したチームが最優秀賞を受賞しました。

このように学会で成果を発表することで、中高生どうしが切磋琢磨できる環境を作っています。

国も若いプログラマー育成に積極的!

情報技術の分野は移り変わりが早いので、若い柔軟な発想が不可欠です。

国の天才プログラマー発掘事業「未踏」でも、小中高性を対象とした「未踏ジュニア」も公募しています。

 応募期間は2月〜4月。2019年度の採択は終了しています。

「情報」が共通必修科目に

2022年度から高校で「情報Ⅰ」が共通必修科目になります。

全国の高校生全員が、プログラミングを学ぶようになります。

情報処理学会では学会発表が、選択科目である「情報Ⅱ」を履修する生徒が成果を発表する場となることを想定して土台作りを進めているところです。

発表に参加した生徒が、入試でも有利になるようにすることも検討しています。

2024年には大学入学共通テストに情報科目の導入が検討されています。

えいこ
今後の動向が注目されますね
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中高生向けの学会発表部門を新設した学会

ポスター部門を新設〜日本物理学会〜

3月の全国大会で中高生を対象としたポスター部門を新設しました。

(学会員にならなくても参加可能)

131件の応募があり、審査を通過した80の中高生チームが発表しました。

ポスター賞は、「宇宙でも使えるピペットを考案し、その有用性を地上での実験を確かめた研究」が最優秀賞を受賞した。

えいこ
宇宙飛行士さんたちが、国際宇宙ステーションで実験している様子はよく見ますよね。
無重力状態で精確に使えるピペットマンがあったら、宇宙での実験の精度も上がりますね!
さらなる研究成果が期待できます。

口頭発表の場を作ろう〜化学工学会〜

2019年3月に高校生向けの研究成果発表会を開催しました。

(学会員にならなくても参加可能)

発表会場は東京と京都の2箇所。

多くの高校生が参加しやすくしました。

特徴としては、高校生が学部生や高専生と一緒に発表する点です。

大学生の発表を直接聞くことによって、大学に進学したときの研究生活をイメージしやすくなったり、発表後の交流会で大学生と意見交換ができます。

発表形式は口頭発表だけで、プレゼンテーション能力を磨く場に。

えいこ
口頭発表って、慣れている人でも緊張します
それを中高生の間に経験できるっていうのは、良いことですね
自分の研究を論理的に説明する能力が身につくのは、今後の研究にとっても役に立ちますね!
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高校生向けの出張授業を開催〜分子生物学会〜

現役の研究者を無料で派遣!

分子生物学会では、高校の要請に応じて現役の研究者を原則無料で派遣しています。

活動は2013年から行われています。(2019年も実施する予定)

現役の大学や研究所の教授レベルの人が直接最先端のことを教えてくれます。

出張内容は高校側が自由に決めることができます。設備があるなら実験の指導もしてくれます。

iPS細胞やゲノム編集などの研究に関するテーマが人気です。

研究の最前線で活躍する専門家から直接話を聞くことで、バイオ分野へ進む学生を増やしたいと考えています。

出張授業は高校の先生向けのものも用意されています。

えいこ
生徒より高校の先生の方が、
こういう講座を楽しんでるようですよ

学校の先生も学会員に!

分子生物学会では、小学校・中学校・高校の先生も「次世代教育会員」として、学会員になることができます。

次世代教育会員って何ができるの?
  • 年会費は正会員と同様に支払う
  • 学会の全国大会に無料で参加できる
  • 学会で一般演題の発表ができる
  • 学会誌「Genes to Cells」を無料で閲覧できる

高校の先生は生物などの一般的な知識は豊富ですが、最先端の研究成果をつかみきれていない場合が多いのです。

高校の先生などに積極的に学会に参加してもらって、高校の授業の内容と大学で学ぶ内容のギャップを小さくすることが狙いです。

\教育と研究の間にある壁を低くする/

なんで中高生に対する取り組みに力を入れてるの?

理系の研究者を目指す大学生が減っている

というのが大きな問題です。

文部科学省の科学技術・学術政策研究所によると2017年に大学院の博士課程に入学した学生は約1万4700人。

6年前の2011年は約1万6000人でした。毎年少しずつ減っています

2019年の国公立大学入試の前期日程で、工学部・医学部などの理系の志願者は約11万6300人で、5年前より8300人減っています

その一方、経済学部、法学部などの文系志望者は5年で約9000人増えています。

理系研究者になりたい人が減っている背景

日経サイエンスの記事ではこう書いてあります。

日本の企業の多くはこれまで横並びの新卒一括採用で、学生が専門スキルを学んでもあまり評価されない点が研究意欲の低下につながっていた。

日経サイエンス2019年8月号

専門的な知識を身につけても会社に入ったら役に立つことは少ないです。

それよりも、

  • 経済的な問題(学費)
  • 将来の問題(博士号取得後のキャリアへの不安)

の方が多いのではないかと私は思います。

専門的なスキルを身につけて、好きなことを研究しても安心して生活できる土台づくりが必要ではないでしょうか。

中高生を対象とした学会の取り組み〜まとめ〜
  • 情報処理学会は、論文掲載料を無料
  • 中高生が学会員になれるジュニア会員を設けている学会もある
  • 高校生も学会発表できる場を作っている
  • 高校へ現役研究者を派遣して出張授業する学会もある
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